ウォーミングアップの目的は以下の4点に要約することができる。
①運動中の傷害、内科的事故の発生・発症の予防
主運動の特性、傷害や事故の発生の特徴、運動実施者の特性を考慮し、十分に計画されたウォーミングアップは運動による傷害や循環器発作などの発生や発症を予防する効果がある。
ウォーミングアップによって下肢の靭帯損傷などの外傷および慢性傷害の発症リスクを約半分に低下させることが、エビデンスレベルの高い研究で報告されている。
②運動パフォーマンスの向上
主運動の特性や運動実施者の特性を考慮し、十分に計画されたウォーミングアップは、様々な運動種目のパフォーマンスや持久力、筋力、柔軟性といった体力を一過性に向上させる効果がある。
③主運動に対する心理的準備
ウォーミングアップでは段階的に運動強度や動きの複雑さを高めていくことで、主運動に対する心理的準備を図ることが期待できる。
④運動実施者の体調の把握
ウォーミングアップでの実施者の動きや様子、顔色を観察することは指導者が実施者の健康状態やコンディションを知る良い機会である。
ウォーミングアップ中の体調チェックポイント
<自覚的所見>
- 胸痛
- 呼吸困難
- 疲労感
- 吐き気
- めまい
- 頭痛
- 四股、関節の痛み
- 足のもつれ
- 脈拍の急増
<他覚的所見>
- 顔色が蒼白になる
- 冷や汗が出る
- 唇が紫色になる
- 動きが不安定にみえる
- 呼吸が激しい
- 運動速度の低下